「眼精疲労」とはどんなもの?
2016-08-16
しつこい肩こりや頭痛、慢性的な身体のだるさに、長らく悩んでいませんか?
もしあなたが日常的にスマホやパソコンを多用しているなら、このお悩みは眼精疲労が原因かもしれません。
眼精疲労と聞くと「眼が疲れているだけ」と軽く考えられがちです。
たしかに、眼精疲労は一言でいえば「目の過労」です。が、じつは医学的には、単なる目の疲れ(眼疲労)とは区別されているんです。
眼精疲労とは、以下のような症状を指す医療用語です。
⒈眼疲労が原因で、日常生活に支障が出ている
⒉眼疲労が原因で、身体に影響が及んでいる
⒊眼疲労の原因が、目や身体の病気あるいは精神的ストレスにある
たかが目の疲れと侮らず、その疲れをその都度取り除いてあげることが大切です。
眼精疲労の症状は、以下の3つに分かれます。
1:目に現れる症状
眼精疲労の症状は、まず初めに目そのものに現れます。
目をさほど酷使したわけではないのに、以下のような不快感を感じやすくなります。
- ●すぐに目が疲れ、つらくて物を見ていられない
- ●目の奥が重苦しい、ずきずき痛む
- ●まぶたが重く感じる
- ●目が乾いたり、涙が出る
- ●しょぼしょぼする
- ●充血する
また一方で、
- ●視界がぼやける、かすむ
- ●視線を移動したとき、焦点が合いづらいと感じる
- ●普段通りの生活をしていても「まぶしい」と感じる(光過敏)
など、見え方に変化があることも多いケースです。
2:身体に現れる症状
眼精疲労に伴う身体の症状は個人差があり、人によって様々です。以下は主な症状ですが、それぞれ起こりやすい人も起こりにくい人もいます。
- ●肩こり
- ●頭痛・頭が重たい感じ
- ●めまい・吐き気
- ●首から肩や腕にかけての痛み、だるさ
- ●背中の痛み
- ●手足のしびれ
- ●胃もたれ・胃痛
- ●食欲不振
など。
見えにくいことへのストレスや、よく見ようとして姿勢が悪くなることなどから起きる血行不良が多いに関係している、と言われます。
3:精神面に及ぶ症状
眼精疲労が進行すると、精神面にも影響を及ぼします。
- ●不眠
- ●倦怠感
- ●イライラ
- ●不安
- ●抑うつ状態
など。
これは気のせいや単に疲れたせいというものではなく、視神経と脳のつながりが深いためです。
コントロールできない症状なので、軽く考えず、きちんと回復につとめましょう。
眼精疲労は、自分が感じるよりもずっと大きく脳に負担をかけ、うつ病と似たメカニズムまで発生させてしまうのです。
重なると引き金になる、眼精疲労の原因
眼精疲労の主な要因は、一言でいえば「目の過労」。
しかしこのような症状が出るに至るには様々な原因があり、いくつか重なっていることが多いです。
たとえば、以下のようなもの。
- ●近視・乱視など視力の問題
- ●眼鏡やコンタクトレンズが合っていない
- ●長時間のパソコン・スマホ使用
- ●机の高さや部屋の明るさなど作業環境
- ●睡眠不足
- ●バランスの悪い食生活(栄養不足)
- ●緑内障・白内障など目の病気
また、シックハウス症候群といったアレルギー、耳や鼻の病気などが関係してくるケースもあります。
スマホ台頭で急増する「VDT症候群」
Visual Display Terminal(画像情報端末)、略してVDT。
VDT症候群とは、デスクワークの人を中心に急増している病の一つで、パソコンやスマホ作業による目の酷使で身体に深刻な影響が出る病です。
症状は眼精疲労に限りなく近く、とくに
- ●ドライアイ
- ●抑うつ症状
が強く出るケースが多いです。
じつは、スマホやパソコンの画面で情報を処理するのは、テレビを見るのとは比べ物にならないほど目を消耗させます。
これは、まず画面の隅から隅まで視線を走らせ情報を収集、脳を働かせて意味を理解し、情報の取捨選択をし、必要ならば入力する……など、一連の動作を伴うため。
また画面から発生しているブルーライト(青色光)が、視神経を過剰に刺激し、不眠や偏頭痛などの原因になるとも言われます。
VDT症候群は、以前はパソコン作業の多い事務職やIT関連職の方など限られた一部の方に見られる病でしたが、最近はスマホの台頭により誰でも発症する可能性が高まりました。
多くの方は15cm程度という至近距離でスマホを見ています。皆さんも覚えがあるのではないでしょうか、ゲームやSNSに夢中になって、気がつくと猫背になり鼻先で画面を見つめていた……というような場面。
このとき、目はほとんどまばたきをしていません。まばたきの役目は、涙を分泌して目が乾くのを防いだり、情報をシャットダウンして視神経や目の筋肉をこまめに休めたりすること。
ちなみにふだん人間がどれくらいまばたきをするかというと、
- ●女性は1分間に約15回
- ●男性は1分間に約20回
と言われます。
それが全くなくなるのですから、目への負担は計り知れません。
VDT症候群は別名「テクノストレス眼症」とも呼ばれ、精神にも大きな負担をかけます。長時間、視神経と指先のみというごく一部の機能を酷使するバランスの悪さは、抑うつ状態を招きやすいのです。
コメントを残す